kumamotone’s blog

iOS/Android アプリエンジニアです https://twitter.com/kumamo_tone

App Clipsの起動方法の設定とテストについて

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上記の続きになります。

デフォルトの起動方法の設定

App Clip は単独でリリースできず、常に対応する本体アプリが必要で、アプリの一部としてApp Store Connectに提出します。App Store Connectでは、新しいアプリバージョンのページで、Default App Clip Experience を設定し、Clip Cardに次のメタデータを提供する必要があります。

  • ヘッダー画像
  • アプリのクリップの詳細情報を提供するサブタイトル
  • アクションボタンをタップしたときに呼ばれるアクション

設計指針については、Human Interface Guidelines を参照してください。

Advanced App Clip Experience

Webサイトの Smart App Banner や Message アプリの共有リンクからの呼び出しは、前述の Default App Clip Experience が呼び出されます。

しかし、NFCタグなどをサポートしたい場合は、 Advanced App Clip Experience を設定する必要があります。呼び出しURLを設定し、App Store Connectで呼び出しと呼び出しURLの両方をAdvanced App Clip Experienceとして設定します。

次のような場合に、Advanced App Clip Experienceを設定します。

  • NFC タグやビジュアルコードからの呼び出しを含む、すべての可能な呼び出しをサポートするようにしたい場合
  • 物理的な場所に関連付ける必要がある場合
  • 複数の事業者が利用する場合

Advanced App Clip Experience を設定するには、呼び出しURLを登録する必要があります。また、Advanced App Clip Experience ごとに異なる画像やメタデータを指定することもできます。

Advanced App Clip Experience に設定すべきURL

Advanced App Clip Experience に登録すべきURLの数は、ユースケースによって異なります。たとえば、App Clipが常に同じ画面を表示する場合、1つ登録すれば十分でしょう。

通常の呼び出し(WebのSmart App Banner、Messageアプリの共有リンク)以外の呼び出しをサポートしたくない場合は、Advanced App Clip Experienceを作成する必要すらありません。その他のユースケースでは、逆にAdvanced App Clip Experienceを設定することが最も重要な場合があります。

一般的には、登録するURLはできるだけ少なくして、できるだけ汎用的なURLを登録してください。

次に、最もふさわしい接頭辞を持つURLを考えます。

たとえば、https://example.com/menu を URL として設定すると、https://example.com/menu/lunchhttps://example.com/menu/dinner などの同じURLで始まるすべてのURLをカバーすることができます。

ただし、ビジネスが複数の物理的な拠点を持つ場合は、1 つまたは複数の物理的な拠点用に それぞれ Advanced App Clip Experience を設定し、各拠点ごとに異なるヘッダー画像、メタデータ、および呼び出し URL を使用することができます。

(例: https://example.com/location1https://example.com/location2 など)

Advanced App Clip Experiences の作成

App Store Connect で Advanced App Clip Experienceを作成するには、呼び出し URL を登録する必要があります。異なるドメインの URL を使用している場合は、アプリとApp Clipの両方のターゲットの Associated Domains Entitlement に適切なドメインエントリを追加して、登録した URL を認証します(参考: Associated Domains Entitlement の追加)。

次に、App Clipと完全なアプリの両方のコードで、登録した URL に応答します。最後に、App Clipが物理的な場所に関連する機能を提供している場合は、Advanced App Clip Experience を物理的な場所に関連付けます(参考: ユーザーの位置情報の確認)。

Smart App Banner とリンクから呼び出せるようにする

WebサイトのSmart App Banner から、 App Clipを起動できるようにしましょう(注釈:Smart App Banner というのは、下記画面にもある、スマホサイトの上部に、アプリへの誘導を表示するアレ)。サイトにSmart App Bannerがすでに設置されている場合は、既存のmetaタグに app-clip-bundle-id=appClipBundleID 属性を追加し、その値にApp Clipのbundle identifierを使用します。

Smart App Bannerを表示したくない場合は、次のHTML metaタグを各ページに追加します。

<meta name="apple-itunes-app" content="app-id=myAppStoreID, app-clip-bundle-id=appClipBundleID, affiliate-data=myAffiliateData, app-argument=myAppArgument">

プレースホルダを適切な値に置き換えます。metaタグのcontent属性には、app-clip-bundle-idとapp-idの両方が含まれていることに注意してください。app-idを含めることで、iOS 13以前のデバイスでアプリを開いたり、プロモーションしたりできるようになります。

f:id:kumamotone:20200625025453p:plain
https://developer.apple.com/documentation/app_clips/configuring_your_app_clip_s_launch_experience

Smart App BannerをWebサイトに設置するには、Apple App Site Association ファイルを設定し、Webサイトのドメインを関連付けられたドメインのリストに追加する必要があります(参考: Associated Domains Entitlement の追加)。

App Clipでは、NSUserActivity オブジェクト経由で、呼び出し元の Smart App Bannerを設置したWebサイトのURLを取得できます。

Web サイトにSmart App Bannerを追加するには、Advanced App Clip Experience は必ずしも必要ありません。しかし、Smart App Bannerを表示できるWebサイトであれば、どのようなWebサイトにも設定することができます。

Advanced App Clip Experience の一部としてバナーの URL を登録したとします。このとき、バナーからApp Clipを起動すると、関連するClip Cardが表示されます。

一方、Default App Clip Experienceのみを設定した場合、バナーからApp Clipを起動すると、Default App Clip ExperienceのClip Cardが表示されます。

App Clip の呼び出しの設定

アプリとApp Clipのどちらもが、スムーズな起動を提供するために、呼び出しURL に応答して、UIを更新する必要があります。

たとえば、複数の物理的な場所を持つビジネスがあったとします。

https://example.com (何のパラメータもないURL)を設定した場合、起動後にユーザーにリストから物理的な場所を選択してもらうこともできますが、操作回数が増えてしまいます。呼び出し URL を適切に設定し、追加の URL パラメータを呼び出しに渡すことで、余計な操作を減らし、ユーザーの体験を良くすることができます。

アプリとApp Clipの両方について、

  1. Associated Domains capability を有効にし、App Clipを起動する各ドメインのエントリを追加します。上記の例では、example.comを追加します。
  2. ユーザーがある場所から別の場所に切り替えた場合に備えて、保存されていないデータを永続化します。
  3. 追加のパラメータを含む呼び出し URL を使用します(例:https://example.com/location1https://example.com/location2 など)。

起動時には、URL に応答して、UIを場所に合わせて更新します。

マップアプリからの呼び出しや「Siriからの提案」からの位置情報ベースのサジェストでは、App Clip Experienceに登録したURLが呼び出しURLとして使用されます。呼び出しURLのプレフィックスとしてのみ使用する場合でも、App Clipとアプリの両方でこのURLを処理できるようにしておく必要があります。

たとえば、Advanced App Clip Experience の1つとして https://example.com/menu を登録したとします。

その場合、NFC タグからの呼び出しには、https://example.com/menu/dinner/item/1234https://example.com/menu/dinner/item/5678 のような URL を使用し、 https://example.com/menu は使用しないかもしれません。

そのような場合でも、App Clipとアプリは https://example.com/menu は扱えるようにする必要があります。

呼び出しURLへのアクセス

App Clip が起動されるタイミングで、NSUserActivityオブジェクトが起動時のライフサイクル関数に渡ってきます。

任意の状態とデータを永続化し、起動時にNSUserActivityオブジェクトにアクセスするために、以下のそれぞれの場合に対応する必要があります。

  • SwiftUIの場合

    • SwiftUIのライフサイクル関数を実装します
    • たとえば、onContinueUserActivity(_:perform:) を使用します。
  • UIKit + UISceneDelegate の場合

    • UISceneDelegateで定義されている関数を実装します。
    • たとえば、scene(:willConnectTo:options:)、scene(:willContinueUserActivityWithType:)、scene(_:continue:)などを実装します。
  • UIKit + UIApplicationDelegate の場合

    • UIApplicationDelegateで定義されている関数を実装します。
    • application(:didFinishLaunchingWithOptions:)ではNSUserActivityオブジェクトにアクセスできないので、必ずapplication(:continue:restorationHandler:)を実装してください。

起動時に、呼び出しの型が NSUsuserActivityTypeBrowsingWeb であることを確認してから、App Clip を起動した URL にアクセスします。

次のコードは、呼び出しURLから情報を抽出する関数です。

func respondTo(_ activity: NSUserActivity?) {
        
    // 異常なデータのための guard 文
    guard activity != nil else { return }
    guard activity!.activityType != NSUserActivityTypeBrowsingWeb else { return }
    guard let incomingURL = activity?.webpageURL else { return }
    guard let components = NSURLComponents(url: incomingURL, resolvingAgainstBaseURL: true) else { return }

    // App Clipに渡されたURLに基づいてUIを更新
}

ユーザーの位置情報の検証

物理的な場所で呼び出す App Clipを作成する場合、タスクを実行する前に、システムがユーザーの場所を検証する必要がある場合があります。

f:id:kumamotone:20200625031813p:plain
https://developer.apple.com/documentation/app_clips/responding_to_invocations

App Clipは、素早く起動するために、軽量なアルゴリズムでユーザーが特定の場所にいることを検証します。

  1. App Clip の Info.plist に NSAppClip という Dictionary 型のキーを追加します。
  2. NSAppClipRequestLocationConfirmation という Bool 型のキーを追加し、値をtrueにします。このエントリはアプリのInfo.plistには追加する必要はありません。 アプリをインストールしてApp Clipを置き換えたとき、App Clipがすでにユーザーの位置情報を確認できていた場合は、アプリもユーザーの位置情報を確認できるようになります。
  3. 位置情報をApp Clipに提供します。この情報を取得するには、App Clipを起動するURLにIDを含めて、そのIDを使用してデータベース内のビジネスの位置情報を検索することができます。または、App Clipを起動する URL に位置情報自体をエンコードして含めることもできます。
  4. 位置情報を使って、半径500mまでのCLCircularRegionオブジェクトを作成し、confirmAcquired(in:completionHandler:) に渡します。

Info.plist に NSAppClipRequestLocationConfirmation キーを追加すると、App Clipの呼び出し時に表示されるClip Cardには、App Clipが自分の位置情報を確認できることをユーザーに伝える追加のnoteが含まれています。この権限はデフォルトで有効になっていますが、ユーザーはClip Cardのnoteをタップすることで無効にすることができます。

次のコードは、App Clipを起動すると、ユーザーの位置情報を検証します。ユーザーがデバイス上の位置情報サービスの権限を拒否した場合も含めた、すべての可能性に合わせてUIを更新するようにしてください。

import UIKit
import AppClip
import CoreLocation

class SceneDelegate: UIResponder, UIWindowSceneDelegate {
    
    var window: UIWindow?
    
    // 該当するすべてのライフサイクル関数で verifyUserLocation(_:) を呼ぶ
    func verifyUserLocation(_ activity: NSUserActivity?) {
        
        // 異常なデータのための guard 文
        guard activity != nil else { return }
        guard activity!.activityType != NSUserActivityTypeBrowsingWeb else { return }
        guard let payload = activity!.appClipActivationPayload else { return }
        guard let incomingURL = activity?.webpageURL else { return }

        // CLRegion オブジェクトの作成
        guard let region = location(from: incomingURL) else {
            // ここで解析エラーに対応してください。
            return
        }
        
        // 呼び出しが期待した場所で発生したことを検証
        payload.confirmAcquired(in: region) { (inRegion, error) in
            guard let confirmationError = error as? APActivationPayloadError else {
                if inRegion {
                    // NFCタグの位置が、ユーザーの位置と一致した場合
                } else {
                    // NFCタグの位置が、ユーザーの位置と一致しなかった場合
                    // (例)だれかが NFC タグを移動したとき
                }
                return
            }
            
            if confirmationError.code == .doesNotMatch {
                // スキャンしたURLがApp Clipに登録されていなかった場合
            } else {
               // ユーザーが位置情報へのアクセスを拒否したか、
               // 呼び出し元がNFCタグやビジュアルコードではなかった場合
            }
        }
    }

    func location(from url:URL) -> CLRegion? {
        let coordinates = CLLocationCoordinate2D(latitude: 37.334722,
                                                 longitude: 122.008889)
        return CLCircularRegion(center: coordinates,
                                radius: 100,
                                identifier: "Apple Park")
    }
}

App Clip の起動のテスト

環境変数を追加して App Clip の呼び出しをローカルでデバッグしたり、TestFlightでテストするための呼び出しを設定したりします。

App Clipを作成する際には、Advanced App Clip Experienceに登録したURLにApp Clipが応答できるように、可能性のあるすべての呼び出しをテストすることが重要です。

デバッグ時のローカルテスト

App Clip のデバッグ時に呼び出しをテストするには、以下の工程を行います。

  1. Xcodeで、[Product] > [Scheme] > [Edit Scheme] を選択し、App Clip の Scheme を選択します。
  2. [Run] を選択します。
  3. Argument タブで、新しい環境変数を追加し、名前を _XCAppClipURL とし、その値をテストするURLに設定し、変数を有効にします。プロジェクトにApp Clip Targetを追加すると、Xcodeはこの環境変数を追加します。
  4. テストしたいURLのドメインが、Associated Domains Entitlement に追加されていることを確認します(参考: Associated Domains Entitlement の追加)。
  5. NSUserActivity オブジェクトから構成したテスト URL にアクセスするために、App Clipをビルドして実行します。

TestFlight を使った呼び出しURLのテスト

新しいバージョンのApp Clipを App Store Connect に提出し、TestFlight でテスターが利用できるようにすると、テスト用に最大 3 つの異なる呼び出しを設定できます。

TestFlightアプリでは、設定された3つの呼び出しのいずれかからApp Clipを起動し、App Clipが期待通りに応答するかどうかを検証します。TestFlight アプリからApp Clipを起動した場合、Clip Cardは表示されないことに注意してください。

出典

続き

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iOS14 で追加された App Clips の概要と作り方

App Clip の概要

App Clipは、ユーザーが必要なときに必要な場所で、機能の一部を提供する機能です。

コーヒーショップのアプリを例に考えてみましょう。App Clipは、ドリンクを注文するだけの機能しか提供しません。

ユーザーがコーヒーショップの前を通ると、「Siri からの提案」で位置情報に基づいたサジェストがデバイスに表示されます。ユーザーはサジェストをタップすると、システムが提供するClip Card から、 すぐに App Clipを使ってドリンクを注文することができます。

f:id:kumamotone:20200623162508p:plain
https://developer.apple.com/documentation/app_clips

「Siriからの提案」からの位置情報ベースのサジェストのほかにも、NFCタグをスキャンしたりするなどの起動経路があります。

App Clipは瞬時に起動し、ユーザーが日常的なタスクをできるだけすばやく実行できるようにし、必要な時間だけユーザーのデバイスに残ります。

ユーザーがApp Clip対応のアプリをインストールすると、完全なアプリがApp Clipに置き換わります。この時点から、すべての呼び出しはApp Clipの代わりに完全なアプリに切り替わります。

ユーザーがアプリをインストールせず、一定期間使われない場合は、システムは自動的にApp Clipを削除します。

またコーヒーショップの例で考えてみましょう。

App Clipは対応するアプリをユーザーにおすすめして、ユーザーはおすすめからそのアプリをダウンロードします。次に位置情報ベースの提案を見てそれをタップすると、App Clipの代わりに完全なアプリを起動します。アプリをインストールしていない場合は、App Clipが起動します。

App Clip の開発の概要

Xcodeプロジェクトにおいては、App Clipは、アプリのターゲットとコードとアセットを共有する追加のターゲットです。また、App Clipは、アプリで利用できるのと同じフレームワークにアクセスすることができます。

たとえば、以下のようなことを行うことができます。

  • カメラへのアクセスを要求
  • ローカルキーチェーンに機密データを保存
  • Bluetoothバイスに接続する

ただし、App Clipには、ユーザーのプライバシー保護などの観点から、機能に制限がかけられています。アプリは1つの対応する App Clip を持ち、App Clipの機能はアプリで完全にサポートされている必要があります。

起動経路

App Clip は以下の起動経路があります。

  • 物理的な場所でNFCタグまたはビジュアルコードをスキャンする
  • 「Siriからの提案」の位置情報ベースのサジェストをタップする
  • マップアプリのリンクをタップする
  • ウェブサイト上でスマートアプリのバナーをタップする
  • メッセージアプリで誰かが共有したリンクをタップする

f:id:kumamotone:20200623164038p:plain
https://developer.apple.com/documentation/app_clips/developing_a_great_app_clip

起動時に、システムはメタデータとURLを検証します。次に、この URL を使用して、起動時に提示されるClip Cardと呼ばれるシートを生成します。

Clip Cardには、追加情報を提供し、ユーザーがApp Clipを起動するためにタップするボタンを表示されます。起動ボタンがタップされると、URLがApp Clipに渡され、URLの情報を使用してUIを更新します。

UXについて

App Clipはホーム画面に表示されず、ユーザーは通常のアプリを管理するような方法では管理しません。その代わり、システムは一定期間使用していないと、デバイスから削除されます。そのため、洗練されたUXを提供することが重要です。

タブバーや複雑なフォームのような複雑なUI要素を避け、直線的で焦点を絞ったUXを提供しましょう。

より複雑なタスクを実行する必要がある場合は、複雑さを軽減するテクノロジーを利用しましょう。例えば、サービスや商品の支払いにApple Payを提供したり、複雑な登録フォームを避けるためにSign in with Appleを利用したりすることができます。

デザインの指針については、Human Interface Guidelines を参照してください。

バイナリサイズの制限

アプリのクリップは、瞬時に起動できるようにするために、10 MB 以下の小さなサイズにする必要があります。可能であれば、App Clip はこの制限以下にしてください。

使用可能なフレームワーク

App Clip は SwiftUIとUIKit の両方を利用しており、アプリと同じフレームワークにアクセスすることができます。

ただし、以下のフレームワークはApp Clipでは利用できません。

  • CallKit
  • CareKit
  • CloudKit
  • HealthKit
  • HomeKit
  • ResearchKit
  • SensorKit
  • Speech

これらのフレームワークを使用してもコンパイルエラーは発生しませんが、これらのフレームワークAPI は、実行時に使用不可、空のデータ、またはエラーコードを示す値を返します。たとえば、HealthKit の isHealthDataAvailable() は、App Clipから呼び出すと false を返します。

プライバシーの保護

App Clipでは、SKOverlayやSKStoreProductViewControllerを使用して広告を表示したり、他のアプリをおすすめしたりすることができます。しかし、ユーザーのプライバシーを保護し、アプリやApp Clip間でのユーザー追跡を防止するため、Limit App Trackingが常に有効になっています。

App Clipは、AppTrackingTransparency (iOS14.0+の機能)でユーザーを追跡する権限を要求することはできず、nameとidentifierForVendorはどちらも空の文字列を返します。さらに、URLSessionでバックグラウンドのネットワーク処理を行ったり、App Clipが使用されていないときにBluetooth接続を維持したりするなどのバックグラウンド処理を実行することができません。また、位置情報アクセスを要求することもできません(次の日の午前4時に自動的にリセットされる一時的な位置情報権限は要求することはできます)。

ユーザーデータを保護するため、App Clipは以下にアクセスできません。また、自身の本体アプリ以外の他のアプリとデータを共有することはできません。

  • モーションデータとフィットネスデータ
  • Apple Musicとメディア
  • 連絡先、ファイル、メッセージ、リマインダー、写真などのアプリのデータ

本体アプリで行うべき機能

App Clipは、その場限りの体験を提供し、日常のタスクに対して可能な限り迅速な解決策を提供することに重点を置いています。以下のような機能は、本体アプリで行いましょう。

  • Bonjourのような高度なネットワーク機能、またはローカルWi-Fiネットワークの設定
  • App extensions
  • カスタマイズと設定; たとえば、設定バンドルの作成
  • データのHandOffとドキュメントのオープン
  • アプリ内購入とペイメントカードのアプリ内提供
  • 低レベルの Unix 機能; 例えば BSD 通知
  • iPadでのマルチ画面対応
  • カスタムURLスキームの登録
  • StoreKitのrequestReview(in:)メソッドを使用したレビュー訴求
  • ペアリングされたBluetoothバイスの検索

App Clip を作成する

Xcodeを使用して、アプリのXcodeプロジェクトにApp Clip用のターゲットを追加し、アプリとの間でコードとアセットを共有することができます。プロジェクト内の他のターゲットと同様に、Xcode を使用して、シミュレータやデバイス上でApp Clipをビルド、実行、デバッグします。さらに、App Clip の妥当性(authenticity)をシステムが検証できるように、ウェブサーバを設定する必要があります。

App Clip Targetの追加

App Clipは、少なくともApp Clipと同じ機能を提供する対応するアプリが必要で、通常、アプリとApp Clipの両方に同じXcodeプロジェクトを使用します。

新しいアプリプロジェクトを作成する場合は、まずXcodeで新しいiOSプロジェクトを作成します。既存のアプリにApp Clipを追加したい場合は、そのXcodeプロジェクトを開きます。次に、XcodeプロジェクトにApp Clip Targetを追加します。

  1. App Clip テンプレートを使用して、新しいターゲットを追加します。
  2. Product Name を入力し、App Clipに適用可能なオプションを選択して、[Finish] をクリックします。

f:id:kumamotone:20200623172301p:plain
https://developer.apple.com/documentation/app_clips/creating_an_app_clip

[Finish] がクリックされると、Xcodeは選択したオプションに必要なファイルと、以下を追加します。

  • App Clipとそのテストをビルドして実行するためのScheme(本体アプリをビルドして実行するには、既存のSchemeを引き続き使用します)
  • On Demand Install Capable という名前の新しい機能
  • Parent Application Identifiers Entitlement
  • アプリ識別子
    • たとえば、完全なアプリのIdentifierが $(AppIdentifierPrefix)com.example.MyApp の場合、App Clip の Identifierは $(AppIdentifierPrefix)com.example.MyApp.Clip.Clip となります。
  • App ClipのSchemeの一部としての環境変数 _XCAppClipURL は、呼び出しをテストできるようにする
  • 本体アプリと同じデバイスのサポート(Universal なら iOS と iPadOS) (ただしmacOSを除く)

さらに、Xcodeでは、アプリにApp Clipを埋め込むための新しいBuild Phaseを作成します。

コードを追加する前に、まずシミュレータまたはデバイス上でApp Clipを実行しましょう。この時点では、まだコードやアセットを追加していないので、App Clipは空の白い画面を表示します。

Associated Domains Entitlement の追加

ユーザーは 呼び出しURL を使って App Clipを起動します。どの呼び出しをサポートする場合でも、アプリとApp Clipのターゲットに Associated Domains Entitlement を追加する必要があります。

Xcode でプロジェクトを開き、プロジェクト設定で Associated Domains を有効にして Associated Domains Entitlement を追加します。

App Clipまたはアプリを起動する各URLに対して、そのドメインを以下のパターンを使用して Associated Domainsに追加します。(例) appclips:example.com

appclips:<fully qualified domain>

Associated Domains Entitlement を追加することに加えて、起動前にシステムがApp Clipを検証できるようにサーバーを設定する必要があります。詳細については、Configuring Your App Clip’s Launch Experienceを参照してください。

コードとアセットの追加

App Clip はアプリと同じフレームワークを使用し、App Clipのターゲットにコードやアセットを追加すると、他のターゲットと同じように動作します。新しいソースファイルとアセットを作成したり、既存のソースファイルとアセットをApp Clipのターゲットのメンバーとして使用したりできます。プロジェクトの保守性を確保するために、アプリとApp Clipの両方で可能な限り多くのコードを共有する必要があります。

たとえば、

  • 新しいアプリを作成する場合は、App Clipを作成することを念頭に置いて構築し、モジュール化のベストプラクティスに従います。
    • たとえば、再利用可能なコンポーネントを作成したり、 Swift のライブラリとして切り出したりして、アプリとApp Clipの両方で同じコードを使用します。
  • 既存のアプリにApp Clipを追加する場合、コードの重複を避けるために、コードベースをモジュール化し、App Clip とアプリの間でコードを共有するための時間を確保してください。
  • 共有アセットを新しいAsset Catalogに追加し、アプリとApp Clipの両方で同じアセットを使用します。

Active Compilation Conditions 設定

App Clipとアプリの間でコードを共有する場合、アプリのコードの一部がApp Clipで使用できない場合があります。このような場合は、Active Compilation Conditions を使用して、コードを除外するための条件を指定してください。

まず、App ClipのTargetのビルド設定に移動し、 Build Settings の Active Compilation Conditions に新しい値を作成します。次に、必要に応じて共有コードにチェックを追加し、App Clipで使用したくないコードを除外します。

次のコードは、Active Compilation Conditionsに追加した APPCLIP という値をチェックします。

#if !APPCLIP
// Code you don't want to use in your app clip.
#else
// Code your app clip may access.
#endif

注:開発中は、Testing Your App Clip’s Launch Experienceで説明されているように、URL をローカルまたは TestFlight でテストします。

サーバーとXcodeプロジェクトの変更

システムがClip Cardを提示したり、App Clipの呼び出しを許可したりする前に、App Clip の設定とURLを検証します。検証を実行できない場合は、Clip Cardは表示されず、App Clipは起動しません。システムがApp Clipを検証できるようにするには、WebサーバーとXcodeプロジェクトに変更を加える必要があります。

最初に、Apple App Site Association ファイルをサーバーに追加します(参照)。次に、appclipsキーに値を追加します。以前に Apple App Site Association ファイルをサーバーに追加した場合は、既存のファイルに appclips キーのエントリを追加します。

追加する内容は以下のようになります。apps キーの値が配列で、1 つのエントリ(App Clipのアプリ識別子)だけであることに注意してください。

{
    "appclips": {
        "apps": ["ABCED12345.com.example.MyApp.Clip"]
    }
    ...
} 

最後に、Xcodeで、アプリと App Clip の両方のAssociated Domains Entitlementに、ウェブサイトのドメインを追加します。

呼び出しの設定

システムは、App Store Connectで設定したURLを使ってApp Clipを起動します。つまり、App Clipを起動するURLを特定するため、App Store Connectに登録することが必須になります。詳細については、Configuring Your App Clip’s Launch ExperienceResponding to Invocationsを参照してください。

アプリのリリース

App ClipはApp Clip 単体ではリリースできず、本体アプリが必要です。App Clipを公開する準備ができたら、アプリのアーカイブの一部として送信します。App Clipを提出した後、App Storeの審査を通過する必要があることに注意してください。

出典

続き

kumamotone.hatenadiary.jp

potatotips #69 に参加しました (iOS/Androidブログまとめ) #potatotips

potatotips #69iOS ブログまとめ枠で参加させていただきました。

今回はTimersさん主催で、Zoomのウェビナーを使ったオンラインでの開催となりました。

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[Android] 写真動画のフォルダ選択に対応した話 / akatsuki174 さん

speakerdeck.com

写真フォルダを取得して表示する方法。

github.com

流れとしては

  • ContentResolver を使ってデータを取得
  • 加工しやすい形で格納
  • データを表示する

f:id:kumamotone:20200427201425p:plain

取得するカラムなどを設定する。

f:id:kumamotone:20200427201438p:plain

ContentResolver のクエリとしてはこんな感じになる。

f:id:kumamotone:20200427201449p:plain

データの格納をして、

f:id:kumamotone:20200427201500p:plain

表示はよしなにする。

Android Q(10)〜では、Group by + Count で SQLiteException が起こったが、自前でハンドリングした。DATAはdeprecatedになっていたので、使わないようにした(パス自体は取る方法がある)

[iOS] For Developing URL Routing of SwiftUI App (SwiftUI時代のURLルーティングを考察する) / freddi さん

speakerdeck.com

URL SchemeなどでURLが開かれて、アプリを特定の開くという状態を考える。

SceneDelegateでURLをパースして、特定の画面を開くとき、

以前は application(_:, open:, options:) が呼ばれていた。

f:id:kumamotone:20200427202030p:plain

SceneDelegateではこっちが呼ばれる↑。

特典の画面を開く方法として UIApplication.keyWindow を使う方法があると思うが、これは Deprecated になっている。

SceneDelegate.window を代わりに使う方法もあるが、scene(_ scene:, openURLContexts:) を使って以下のように実装した。

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ややこしくなってきたらCoordinatorのようなクラスを作るのがおすすめ。

[Android] ML Kit (Auto ML Vison Edge)で写真から家族を検出する / tsutou さん

犬、猫、子供、大人の画像を合計2万5千枚学習させて、入力写真がどれに属するかという分類をML Kit にやらせる。

ML Kit の学習のときは、 オプションに、下限レイテンシ、汎用、高精度を設定できる。

f:id:kumamotone:20200427202948p:plain

5時間ぐらいで割と精度が出た。

ML Kit はローカルのモデルを使用する運用、リモートのモデルを使用する運用、両方が選択できる。両方というのもあり。ローカルでやる場合はアプリサイズが増えてしまうが、それが許容できる場合はローカルに置いて、適宜リモートも使うという方法がよさそう。

実装方法はスライド参照。

[Q] アプリサイズはどのくらい大きくなりますか?

[A] 今回のだと 4MBぐらい

[macOS] Virtual Web Cameraを作ってみよう / kishikawa katsumi さん

speakerdeck.com

Snap Camera 、どうなってるんだろうと思って中を見てみた。

インストーラーを見てみると、.pluginというファイルをインストールしているっぽい。

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ここに置くとあたかもカメラが増えたようになる。

f:id:kumamotone:20200427203754p:plain

情報が少ないながらもにわかに盛り上がり始めている。

f:id:kumamotone:20200427203901p:plain

公式は、情報が32bit時代のやつでめちゃくちゃ古いが、PDFは2枚でよくまとまっている。

github.com

これを踏まえた上で、OBS用にやってくれてる人のコードとか、

github.com

同じ人が CoreMediaIO DAL plugin のサンプルを公開してくれたりしている。

github.com

さらにSwiftで書き換えてくれている人もいる。

これらを参考に、ウィンドウを重ねれるアプリを作ってみた。

f:id:kumamotone:20200427204119p:plain

やり方、つまづきそうなところだけ紹介する。まず、info.plistについて。Factory interface と右下のやつはなんでもいいんだけど値を合わせないといけない。

f:id:kumamotone:20200427204220p:plain

エントリーポイントの名前はここに対応している(C++の場合)。

サンプルバッファをCIImageにして位置を変えて合成。CIImageにしてオーバーレイ。AVCaptureSessionで画面をキャプチャ、ウィンドウのキャプチャもできる。データの受け渡しは、プロセス間通信が使えるはず。ただしモダンなやつが使えない。

[Android] Troubleshooting on Build & Release Flutter apps / Kenichi Kambara さん

speakerdeck.com

Flutterアプリをリリースしようとしてみた。

Android側はRelease用の証明書をコンソールに登録しないと通らない。

Androidは透過画像がアイコンに設定できるのだが、iOSはアルファチャンネル入っているとArchive→Validate Appで弾かれる。

ソーシャルログインがある場合、Sign with Apple 対応しないとリジェクトされます。

[iOS] Touch Bar on Catalyst / fromkk さん

speakerdeck.com

以下書いたけど公式の書き起こしがあるのでそっちを見たほうが良い。

note.com

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Catalyst から Touch Bar が使える。NSTouchBarとして表現される。限られているものの、 6種類ぐらい使える。

実装方法。

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NSTouchBar.CustomizationIdentifierを定義。どのTouchBarかを識別する。

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NSTouchBarItem.Identiferで表示する項目の種類を識別。

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CatalystではmakeTouchBarというメソッドを実装する。

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NSTouchBarに生えているプロパティはこんな感じ。

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カスタマイズできるかどうかはここで設定できる。

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NSTouchBbarDelegateを実装する。メソッドは1個しかない。

NSTouchBarItemには、customizationLabelを設定しておくと、カスタマイズ時にラベルが表示されるようになる。

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Touch Barを検索する場合順序があって、こんな感じになっている。

注意点。Swift UIでは表示できなかった。また、スライダーを表現するNSSliderTouchBarItemから取得するプロパティが無い。keyから取ってこれるけど心配。

サンプルコードは公開しています。

github.com

[Android] Tips on Databinding in RecyclerView / Shota Ara さん

RecycleView で LiveData を DataBinding する。

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lifecycleOwner と model を binding に設定する。

今回話したいのは、lifecycleOwnerについて。

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ここに何を渡すかというと、Activityなら、Activity自体だが、Fragmentの場合はviewLifecycleOwnerを渡す必要がある。

RecyclerViewの場合は? binding.root.contenxt as LifecycleOwner を渡す。一見できているように見えるが、これだけだと挙動的にメモリリークしている。

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解決方法。FragmentのLifecycleOwnerを渡せば良い。また、viewHolderをLifecycleOwnerにするという手もありそう。

[iOS] e-Conte board 開発話 / codelynx さん

https://speakerdeck.com/codelynx/e-conte-board-dev-story

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絵コンテを作るためのアプリを作った。Apple Pencilで書き込める。

Core Graphics を使っている。

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スクロールする方法はいくつかあるが、今回は3を採用(ペンと指で別の機能にする)。

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タッチでdrawできなくしたり、pencilのときはZoomできなくしたりできる。

また、縦に広がるSegmentedToolControlというのを作った。

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これについてはAdventCalendarに書いた。

qiita.com

また、コードはGithubで参照できる。

github.com

ちなみにアプリはダウンロードできるけど課金しないと使えない このアプリ使う可能性のある人って100人ぐらいしかいないので全員にダウンロードしてもらっても採算取れない せつない

[Android] ContextThemeWrapperでThemeをより賢く / rmakiyama さん

スライド

speakerdeck.com

radiotalk.jp

ContextThemeWrapperでThemeを動的に置き換えられる。

例として、ステータスが変わったらImageViewの背景色を変えるというのをやってみる。

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既存のcontextを第1引数、置き換えたいやつを第2引数に指定する。

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Viewの生成のときにも同じようにできる。

[iOS] SwiftUIでNeumorphism!!! / Ryo Tsuzukihashi さん

speakerdeck.com

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iOS6ぐらいまで使われていた、Neumorphismという考え方がある 現実の物質に似せて、直感的に操作を理解させるというやつ。

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実装、ColorのExtensionでベースのカラーコードを受け取り、ベースの輝度のみを変えたもので影を作る。

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shadow(color:radius:x:y) を呼び出したら簡単に Neumorphism の影がつけられる。ライブラリにした↓

github.com

[Android] Wi-Fi Suggestion API / syarihu さん

おすすめの通知ダイアログとともにWiFi情報を自動で追加してあげる機能がある。

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Q以上の場合は以前のAPIがdeprecatedになっているのもあり、Wi-Fi Suggestion API を使うと良い。

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一回いいえで拒否されると、割と深いところで権限を取り直してもらわないといけなくなる。のでこれを出すときは割と丁寧なコミュニケーションをしないとユーザビリティ的に面倒なことになる。

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このメッセージだが、2019年12月5日のアップデートで変わったので、同じAndroid 10 でもメッセージが違うという罠がある…

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ブラックリストに入れられるとSSIDはどこからも確認できなくなってしまうので、解除について注意事項を書いておいたりすると良い

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アンインストール時には削除されるのは、覚えておくと良さそう。

また、Android11以降は、大きな変更が入ってるっぽいので注意してみておくと良さそうとのこと。

[iOS] Custom Gesture Recognizer の世界 / TachibanaKaoru さん

speakerdeck.com

Gesture Recognizerの話

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ジェスチャが認識されている途中で音を鳴らすとかしたい

そういうときのために Custom Gesture Recognizer がある。

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UITouchのpreviousLocationには直前にタッチした場所が入っている。

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この位置が現在の位置と離れていれば離れているほど速く動いているってこと。

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速さと同じようにgradient(方向)も取ることができる。

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ジェスチャの各状態のときに、速さと方向が取れる。

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P→P→P→Rなパターンのみ成立とみなす。

ストロークによっては、ユーザーの入力を意図通りに判断するのが難しい場合もあるため、状況に応じた最適化が必要。

コードはこちら

github.com

そのほか

  • リモート参加だとディスプレイ広く使えるのでブログ書きやすくて良い
  • カナダと福岡から発表している人もいてそれも良かった
  • 個人的に内容も勉強になるのが多くてよかったです!
  • QAがZOOM上でやれるのも良い

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AtCoder Beginner Contest 159 (ABC159) A,B,C 解説

atcoder.jp

自分は出なかったのだが、全体的に数学っぽい問題だったっぽい。実際(実際って何?)、AからCまでfor文ひとつ書かずに解くことができる。

自分はコンピュータサイエンス修士取ったくせに数学苦手意識がすごく強いので、Twitterの感想見てて自分が参加してたらつらそうだったな〜と思った。

ついでに見たPDF版の解説が分かりにくかったのだが(すいません、個人の感想です)解説動画の内容がわかりやすいと思ったので、補足しつつ書き残しておく。

PDF: https://img.atcoder.jp/abc159/editorial.pdf

www.youtube.com

A - The Number of Even Pairs

問題概要

偶数が書いてあるN個のボールと奇数が書いてあるM 個のボールがある。ここから2つ選んで、書かれた数の和が偶数になるパターンの数を求めよ。

答え

偶数が書いてあるボールのグループ、奇数が書いてあるボールのグループから、それぞれ1個ずつ取る場合は絶対に奇数になる。

逆に、同じグループから選ぶ場合は絶対に偶数になる。

なぜなら、偶数、奇数の性質上、

  • 奇数+奇数=偶数 // いいね‥

  • 偶数+偶数=偶数 // いいね‥

  • 奇数+偶数=奇数 // ダメです

となるので。

そのため答えは

N個のボールから2個選ぶ= {} _NC_2 =  \dfrac {N(N-1)}{2} パターン

M個のボールから2個選ぶ= {} _MC_2 =  \dfrac {M(M-1)}{2} パターン

を足したものになる。

ちなみに  {} _nC_r ってなんだっけとなったときは、ググる

 {} _nC_r =  \dfrac {n!}{(n-r)!r!}

ということがわかり、今回 r=2 なので

=  \dfrac {n!}{(n-2)!2!}

=  \dfrac {n(n-1)(n-2)(n-3)...}{2(n-2)(n-3)...}

=  \dfrac {n(n-1)}{2}

となる。

int main() {    
    int N, M;
    cin >> N >> M;
    int ans = N*(N-1)/2 + M*(M-1)/2 ;
    
    cout << ans << endl;
    return 0;
}

書きながら N*(N-1)/2 の結果って常に整数になるの?って一瞬思うが、これも偶数と奇数の性質上、

  • Nが奇数だったらN-1は偶数
  • Nが偶数だったらN-1は奇数
  • 奇数×偶数は常に偶数

のため、絶対 N(N-1) は偶数となり、2で割っても大丈夫。

B - String Palindrome

atcoder.jp

問題概要

akasaka のような、回文な上に、中心の文字の左右の文字列も回文になっている文字列かどうか判定せよ。

答え

問題文が厳密な書き方をしているので一見”"強い""回文って何?って思うが、上記の概要みたいなことを言ってるというのに気付ければ、そのまま実装すれば良いとなる。

まず回文かどうかは、以下の関数で求められる。

bool isPalindrome(string s) {
  string t = s;
  reverse(t.begin(), t.end()); // t をひっくり返したやつが
  return s == t; // 同じだったら同じ
}

文字列をひっくり返す方法は最近の大体の言語で関数化されてるはずなのでC++以外の場合はそういうのを使うとよさそう。

あとは、全体を回文かどうか判定したあとに、真ん中の文字から左の文字が回文になっているかどうかだけ判定すれば実は右側の文字は判定しなくて良くて、以下のようになる。

int main() {
    string s;
    cin >> s;
    bool ans = true;
    if (!isPalindrome(s)) {
        ans = false;
    }
    string leftSub = s.substr(0, s.size()/2);
    if (!isPalindrome(leftSub)) {
        ans = false;
    }
    
    cout << (ans ? "Yes" : "No") << endl;
    return 0;
}

C - Maximum Volume

問題概要

縦、横、高さの長さの合計が L の直方体としてありうる体積の最大値を出力せよ。

答え

直感的に(は?)、縦、横、高さが同じの場合に体積が一番でかそうだと気づいた場合、縦、横、高さがLの1/3のときの体積を求めればいいじゃんとなる。

なので、シンプルに

(L/3)3

を計算すれば良い。

int main() {
    double l;
    cin >> l;
    double ans = pow(l/3,3);
    cout << fixed << setprecision(12) << ans << endl;
    return 0;
}

なんだその直感は

これだけで問題は解けるが、マジでそれで大丈夫か?となる。

これは相加相乗平均不等式というやつで証明できるっぽいが、もっと直感的に(?)確かめる方法がある。

まず、縦、横、長さが同じときの体積を a×a×a …(1)とする。

その状態から、ほんのちょっと ε だけ長さを変えたときの体積は、 a(a + ε)(a - ε) …(2) になる。

このとき、 (1) と (2) を比較すると、

a×a×a と a(a + ε)(a - ε)

a×a と (a+ε)(a-ε)

a2 と a2 - ε2 // 左のほうが絶対デカいね

となり、ε>0 (ほんのちょっとって言ってるのに0だったらズルじゃん?)から、 (2) は (1) より ε2 ぶん小さいので (1) のほうが確実にデカい、となる。

なので 、縦、横、長さが同じときの体積が一番デカい。よかったですね。

感想

ここまででもむずいなあとなり筆をおいてしまったのだけどCまで8,201人中7,134人解けてるので、たぶん標準的な参加者的にはそうでもないんだろうな…と思うとぐんにょりしてしまった

HerokuにMySQL+NginxのRailsアプリを移管した

さくらのVPSで運用してたRailsのアプリだが、ほとんど放置状態になっているのにも関わらず月1000円ぐらい払い続けているのがもったいないのでherokuのフリープランに移管した。

つまずきつつ解決したことなどを健忘録的に書き残しておく。

Ruby や gem のバージョンアップ

Macの場合入れるだけで大体つまずく

stackoverflow.com

qiita.com

次からはDocker使ったほうがええんじゃないかと思った。シンプルにググったらなんとかなるものが多いからがんばれ

一回 Gemfile.lock を消して bundle install して一気に依存解決するという技があった

precompile

デプロイはGithubリポジトリ指定するだけで簡単にできたがCSSがあたっていない。

precompileに設定が必要で、まず下記のgemをproductionに指定する。

gem 'rails_12factor'

あとは bundle exec rake assets:precompile もしておく。

DBのインポート

DBはプラグインという形で提供されている。

PostgreSQLで問題ない場合はPostgresを使うのが無難っぽいが、MySQLを使いたかった。

devcenter.heroku.com

heroku addons:create cleardb:ignite というコマンドでインポートできると公式に紹介があるが、--fork コマンドはMySQLサーバーがpublicにアクセスできるところにある場合に使えるみたいで、無効なURLを渡しても静かに失敗する。

JawsDBはフリーの制限が結構厳しくて、DBのサイズによってはINSERT時に勝手にRejectされたりするっぽい。

stackoverflow.com

で結局いかの記事を参考にClearDBにmysqlコマンド使って書き込むってやつをやった。

fuzzyblog.io

JawsDBを例に書いてあるがClearDBでも同様にできる。ホスト名とかパスワードとかどこ?!ってなるがheroku config で出てきたmysql:の連結URLをバラせばいける。

heroku config -a [app-name]

最後にDATABASE_URLを指定するのだが、そのときはmysql:をmysql2:に変更する。

heroku config:set DATABASE_URL='mysql2://~~~' -a [app-name]

独自ドメインの設定

設定のDNS Targetからアドレスを持ってきて

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CNAMEに設定すればOK

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以下日記

Mac上でRailsアプリだが、Herokuにはかなりあっさりデプロイすることができた。一方さくらのVPSはというと、VPS自体に罪はないのだけどなんかいつからかnginxのソケットがなんとかで落ちてて、productionのlogはlogrotateしてなかったので20GBとかになってた ほかにも罠は色々ある気がするけど日常的にサーバー管理してないのでもう1〜2年置くとさっぱり思い出せんし再度デプロイするのにサクッとできる自信は全然ない。マネージする範囲は絞ったほうがいいな〜と再実感しました。おわり

potatotips #67 に参加しました (iOSブログまとめ枠) #potatotips

potatotips #67iOS ブログまとめ枠で参加させていただきました。

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会場はメルペイさん。

カンファレンスアプリをSwiftUIで作った / Masamichi Ueta さん

speakerdeck.com

Flutter製の2018年製カンファレンスアプリをSwiftUIでリライトした。MVVM、Dark Mode、Localization、Sign in with Appleなどの要素を盛り込んでいる。

Listの同じRowにNavigationLink2個おいたとき、各々別の画面に遷移してほしいんだがそうならなかった。ScrollViewにForEachでVStackを並べることで回避した。

PageViewでpopするとXcode11.2.1のビルドでクラッシュしていたが、Xcode11.3ではクラッシュしなくなっていた。

コードはOSSとして公開している。

github.com

ブログにも書いてある。

tech.mercari.com

GeometryReaderでSwiftUIのViewをキャプチャする / Takeshi Sato さん

speakerdeck.com

Viewのキャプチャ(スクリーンショット)を取りたい。

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UIViewだとこうやるよね。でもSwiftUIのViewにはBoundsもCALayerもない。どうするか?

Bounds は GeometryReader で取ることにした。 CALayer は UIView に変換して取ることにした。

geometry.frame(in: .global)geometry.frame(in: .local) で座標を取る。(それぞれUIViewのframeとboundsに相当しそう)

UIView への変換は UIHostingController に渡してやって、UIWindow に add して visible にした状態なら view プロパティから取れる。

        let window = UIWindow(frame: CGRect(origin: canvasRect.origin,
                                            size: canvasRect.size))
        let hosting = UIHostingController(rootView: body)
        hosting.view.frame = window.frame
        window.addSubview(hosting.view)
        window.makeKeyAndVisible()
        return hosting.view.renderedImage

サンプルコード。

github.com

Integrating Function Builder / AkihisaSengoku さん

speakerdeck.com

Function Builderとはなにか、作り方と使い方など。

UICollectionView
CompositionalLayoutできれいなGrid Layoutをつくる / Yuichi Kobayashi さん

speakerdeck.com

Swiftサウンドプログラミングをはじめる〜メトロノーム編〜 / teruto_yamasaki さん

3通りの方法でメトロノームを実装してみた。サウンド再生スレッドの優先度は高く保つ。

Playground初心者から脱却するための3つのTips / 417_72ki さん

speakerdeck.com

Playground の中で左のペインを出して New Playground Page すると Playground の中で複数の検証ができるので実は playground 作りまくらなくて良い。

sources/ の中にSwiftファイルを追加できて、処理も共通化できる(注:internal じゃなくて public にする必要がある)

SwiftUI 導入で LLVM のドキュメント読む羽目になった話 / Akkey さん

qiita.com

Xcode Preview が動かないときがあった。どうやら static framework に関係していて、 Linker flags に -fprofile-instr-generate を追加すると動くようになるようだった。なんでなのかを LLVM のドキュメント読んで調べている(情報募集中)。

画面をUITableViewで作るリスクとその対応 / zwtin さん

UITableVIew はパフォーマンスが良いって言うけど有限のリストの場合UIScrollViewにぶちこんだほうがかえってスクロール時にかくつかずに体験がよくなることがある(それはそう)

そのほか

まんぷくむすびはうまい

大胆にリスクを楽しむ

この記事は SHIROBAKO Advent Calendar 2019 の 16日目です。(日付越えてしまいました‥すみません)

SHIROBAKOは、アニメ制作会社の現場を描いたアニメです。2014年10月から2015年3月まで全24話が放送されました。エンジニアやデザイナーの現場にも通じる状況が描かれていたこともあって、放映から4年以上経ったいまでも人気があるアニメです。来年2月29日に初の劇場版も公開されます。個人的には遅ればせながら去年の12月に初履修しました。

個人的にピックアップしたいのは22話のシーン。

「だって去年の今頃なんて、自分がアニメ制作に関われるなんて夢にも思ってなかったんすから」 「りーちゃんは怖くないんだね...」 「何言ってんすか絵麻先輩 怖いのは脚本家になれないことです!」

人間のリスクに対する感覚は基本的によくできていて、大勢の目に触れるとき、それ自体は別に危ないことではないはずなのに、「怖い=危ない」と本能が訴えかけてきます。

その感覚自体は大事にしてあげたら良いと思うのですが、怖さに流されてしまうのはときとして長期的なゴールを遠ざけてしまう(この場合は「脚本家になること」)のではないかと思います。

個人的に今年を振り返ってみると、批評にさらされるのを恐れて公開するのを後回しにしたり、話しかけるべき人に嫌われることを恐れて話しかけるのを後回しにしたり、わくわくより怖さが勝って身動きが取れなくなってしまった記憶がいくつもあります。

このような短期的な怖さをはねのけることは簡単なことではなく、このようなときに必要になってくるのが「脚本家になりたい」のような強い情熱だと思います。このような強いものがあるからこそワクワクが勝つ。自分もりーちゃんのように、怖さが気にならないほどに夢中になって、大胆にチャンスを掴みにいくという姿勢でやっていきたいです。